市場志向の動きが強まる一方で、フェアトレードを「まちぐるみ」で広めようという草の根のフェアトレードタウン運動が2000年から始まりました。「まちぐるみ」というのは、まち(地方自治体)の行政・議会、企業・商店、学校、市民団体な、様々な組織がフェアトレード製品を積極的に使ったり、売ったりすることにコミットすることを意味しています。そうしたコミットメントを確保するための基準が作られ、基準を満たすとフェアトレードタウンに認定されます。

 

イギリスで始まったこの運動は世界に広がり、今日では世界25カ国に1600以上のフェアトレードタウンが生まれています。日本では、2011年に熊本市が日本初、アジア初のフェアトレードタウンに認定されました。また、先進国だけでなく、ガーナやブラジルなど、途上国でもフェアトレードタウンが生まれています。

 

このように、地方政府レベルではフェアトレードにコミットする動きが広がっていますが、中央政府レベルでは、ヨーロッパを中心にフェアトレードを「応援」する政府は増えているものの、フェアトレードを政府の貿易政策にまで採り入れる動きはまだありません。

 

フェアトレードの輪は確実に広がっていますが、世界の貿易に占める割合は0.1%にも達しません。通常の貿易が「アンフェア」である限り、途上国の生産者や労働者の人々が苦しい生活を強いられる状態が続きます。通常の貿易そのものをフェアなものに変えていくことがますます必要になっています。