フェアトレード団体の多くが「企業化」しただけでなく、一般の企業そのものがフェアトレードに参入するようになったのもこの頃です。1988年に、オランダのフェアトレード団体とメキシコのコーヒー生産者組合が中心となって「フェアトレード・ラベル」の仕組みを作りました。一般の企業がフェアトレードに参入する場合、顧客等に対して「フェア」な製品であることを説明する責任があります。それには、フェアに生産・流通されたものであることを確保するための基準を作り、その基準を満たしたことを第三者が確認し、認証する仕組みが欠かせません。こうして、認証の仕組み、そして認証された製品にフェアであることを明示する「ラベル」を貼る仕組みができあがりました。

 

このフェアトレード・ラベルの仕組みは1990年代に入って先進各国に広がり、97年にはラベルや基準を統一するための組織「国際フェアトレード・ラベル機構(FLO)」が誕生しました。ラベルができたことでフェアトレードに参入する企業が増え、それにともなってフェアトレードの市場も飛躍的に拡大しました。今では、世界のフェアトレードの売り上げの95%以上がフェアトレード・ラベル製品になっています。

 

1990年代にフェアトレードが脚光を浴び、21世紀に入ってますます注目を集めるようになるにつれ、これは「ビジネスチャンス」とばかりに、FLOの仕組みに類似したフェアトレードの認証システムが次々とできました。「エコサート」や「フェア・フォー・ライフ」、「レインフォレスト・アライアンス」、「グッド・インサイド」などが代表的です。それによって、広い意味でのフェアトレードは爆発的な成長を遂げていますが、片方ではいろいろな「ラベル」が共存することで、消費者を混乱させる状況も生まれています。

 

市場の爆発的拡大の起爆剤となったFLOのフェアトレード・ラベルですが、限界もありました。原材料や製法がシンプルな製品は基準を作りやすいのですが、手工芸品や衣服などは原材料や製法が無限といってもよいほど多様なため、基準を設けるのがほとんど不可能なのです。そこで、フェアトレードの先駆者ともいえる手工芸品や衣服の生産者たちは、何とか自分たちも使える認証ラベルの仕組みが欲しいと長年訴えてきました。それがないと、広大な一般市場に打って出ることが難しいからです。

 

そうした要望に応えて、手工芸品や衣服の生産者団体やそれを扱ってきた先進国のフェアトレード団体で構成する世界フェアトレード機構(WFTO)が、2000年代後半から独自の認証システム作りを始めました。作業は難航しましたが、フェアな生産を保証するマネジメント・システムが機能していることを確認し、認証する仕組みが完成し、ようやく2014年から本格的な運用が始まりました。こうして、新たに「WFTO認証ラベル製品」が市場に出回るようになっています。