持続可能な開発目標(SDGs)とは,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に書かれた2030年までに達成すべく取り組まれている国際的な目標です。5つの分野(人間・繁栄・地球・平和・協働)と17のゴール、169のターゲットから成り立っていて、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことをキーワードとしています。 開発途上国や先進国という区別なく取り組む普遍的な目標となっています。

SDGsは、フェアトレードとも非常に親和性が高く、多くのゴールの達成に寄与することが期待されています。

ここではFTFJ元理事でフェアトレードタウンの認定委員長でもある長坂寿久さんの著作「フェアトレードビジネスモデルの新たな展開~SDGs時代に向けて」からフェアトレードとSDGsについて引用・紹介します。

以下引用


SDGsとフェアトレード

これから2030年に至るまでの間、世界が取り組む最優先かつ最重要な課題と目標が『SDGs(持続可能な開発目標)』である。日本では政府と経団連は「Society5.0」を掲げて取組み始めている。とくに企業にとっても今後のビジネスチャンスの方向性を示すものとして、その取組みは非常に重要な意味を持っている。(中略)
SDGsへの取組みにおいて、フェアトレードは有効なツールの1つとして重要な意味と役割を担っている。フェアトレードはSDGs17項目の全項目に、直接的・間接的に関わるが、とくに直接的に関わるものとして以下の9目標をあげることができる。
以下はFTAO(フェアトレード・アドボカシー・オフィス/EUへのフェアトレードロビー事務所、ブラッセルに設置)および新フェアトレード憲章等を参考に、筆者の見解も加えて、SDGsとフェアトレードとの関係を整理したものである。また★のついたものは、とくに直接的関係のあるものとして、FTAOが特定している8目標に、筆者の見解(目標11)を1項目追加している。

SDGsとフェアトレードの役割

目標1(貧困をなくそう)★
あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
○フェアトレードは「貧困に取り組む貿易パートナーシップ」である。
○フェアトレードは阻害された生産者と労働者の権利と生活を保障することを目的とする。

目標2(飢餓をゼロにする)★
飢餓を終わらせ、食糧安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
○フェアトレードのバイヤーが提供する取引条件は、生産者と労働者を持続可能な生活ができるようにするものとなっている。
○フェアトレードは現地の農村の自立支援活動である。
○フェアトレードは最低価格制度(コーヒーなど)を導入している。

目標3(すべての人に健康と福祉を)
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。
○フェアトレードは途上国の人々の健康的な生活と福祉を促進する活動である。

目標4(質の高い教育をみんなに)
すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する。
○フェアトレードは途上国の人々の自立支援を通して、学校教育や生涯教育を促進する活動である。

目標5(ジェンダー平等)★
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う。
○フェアトレードは熟練の仕事や指導的ポジションから見離されている女性などのグループに対して機会を提供する。
○フェアトレードによって、女性にも男性と同等の仕事に対して対等の支払いが行われると共に、生産やフェアトレード取引などから得られる恩恵の使途の意思決定に全面的に参加することができる。

目標6(安全な水とトイレを世界中に)
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
○フェアトレードはフェアトレードプレミアムなどの提供を通して、生産者などの取引相手の生活向上のみならず、生産者が生活するコミュニティの開発をともなうビジネスモデルである。

目標7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。
○フェアトレードはフェアトレードプレミアムなどの提供を通して、生産者などの取引相手の生活向上のみならず、生産者が生活するコミュニティの開発をともなうビジネスモデルであり、フェアトレード活動を通してコミュニティのエネルギー課題に取り組むこともできうる。

目標8(働きがいも経済成長も)★
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
○フェアトレードの取引条件は、適切な労働条件の遂行、価格と支払い条件の相互の合意、過重な労働時間をもたらさずに生産できる十分な時間的配慮などについて書面による契約書をベースに取引されている。
○フェアトレードは途上国の中でも経済成長の恩恵に浴していない農家や零細企業を特に支援する。
○フェアトレードは、児童労働など、あらゆる抑圧的な労働手段を許さず、労働者の権利を遵守する活動を展開する。

目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)
強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
○フェアトレードは途上国への技術移転等を促進する。しかもその技術移転は、例えば国際企業の場合は、工員はラインの中の特定の極めて限定的な工程のみを担当し、過酷な労働条件の中で深夜まで働かされ、賃金もきわめて低く、工業化と市場経済化の中で搾取の対象となっている(2013年4月ダッカのビル崩落事件など)、これに対してフェアトレードの技術移転は、例えば、縫製品の原料となるオーガニックコットンの生産・綿花の収穫(農業支援)⇒糸に紡ぎ⇒反物⇒染色⇒衣服のデザイン⇒カッティング⇒縫製⇒販売ノウハウ等、長い工程(農業技術/加工技術/機械技術/商品開発技術/販売技術、等)の移転となりうる。

目標10(人と国の不平等をなくそう)★
各国内及び各国間の不平等を是正する。
○フェアトレードは国際貿易に一層の公平性を求める活動である。先進国と同様、グローバル・サウス(南)において一層の持続性と正義を求めるものである。途上国においてこそ一層の変化が必要である。
○フェアトレードは、「開発途上国の参加や発言力を拡大させ」、不平等をもたらしている現在のWTO(世界貿易機関)による世界の貿易制度の改革を求める運動である。

目標11(住み続けられるまちづくりを)★
包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。
○フェアトレードタウン運動は、ボトムアップ(市民参画)のまちづくりを通して、強靭(レジリエント)で持続可能な、相互扶助のある、社会的・経済的に活性化したまちづくりを推進する運動である。

目標12(つくる責任つかう責任)★
持続可能な生産消費形態を確保する。
○フェアトレードは消費者が持続可能な選択をするよう求める。それによって生産者に対して持続可能な生産の仕組みを実現できるよう、フェアな価格の支払いを保証するものである。

目標13(気候変動に具体的な対策を)★
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。
○フェアトレードは持続可能な農業生産を促進し、気候変動に対応して、ネガティブな影響を減少するよう、小規模生産者にその対応方法を提供する。

目標14(海の豊かさを守ろう)
持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。
○フェアトレードは生産工程での排出物の流出などの環境汚染を厳しく管理すると共に、海洋のプラスチック汚染問題など環境への配慮を行う取組みである。

目標15(陸の豊かさも守ろう)
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
○フェアトレードは環境への取組みを含む活動である。

目標16(平和と公正をすべての人に)
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。
○フェアトレードは格差の縮小、人々の平等の権利などの達成を目指す、平和運動の一つである。
○フェアトレードは、児童労働を含むいかなる子ども虐待に反対し、撲滅を目指す。

目標17(パートナーシップで目標を達成しよう)★
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。
○フェアトレードは、市民、政府・自治体、消費者、生産者・企業を巻き込み、貿易を通して変化と持続可能な発展を求める貿易パートナーシップである。


引用ここまで

「フェアトレードビジネスモデルの新たな展開~SDGs時代に向けて」

長坂寿久 著
明石書店 刊 (2018年5月刊)
ISBN 9784750346625
出版社紹介ページ

SDGsについての参考サイト

市民社会としての取組み
一般社団法人 SDGs市民社会ネットワーク

企業セクターとしての取組み
日本経団連 KeidanrenSDGs

日本政府の取り組み
外務省 Japan SDGs Action Platform
首相官邸SDGs推進本部

国連の取組み
国際連合広報センター